今年の3月末に買って上巻の途中から3ヶ月間止まっていたのです。ユーチューブとか携帯アプリの漫画とか、気軽に楽しめる媒体が増えた今、実際の本を手にとって読書をするという時間って意識してよっぽどのモチベーションがないと取ろうとしないものでしょうかね。
で、上巻の途中で止まっていたのが、その後の展開に引き込まれて残りの上巻半分、中巻、下巻を一気に2日間で読んでしまいました。
自分を見て!な気持ちが強いけれど悪い方の注目しか取れない姉、自分勝手な母、口数の少なく存在感のない父、のなかで空気を読みまくって成長した主人公の歩。テヘランで生まれ、政治事情で日本の大阪へ帰国、そしてまたエジプトへ。
エジプトではヤコブという少年とお互いの言葉がわからずとも心が通じ合いますが家庭の事情と父親の仕事の都合でまた日本へ帰国。身勝手な姉と母のために女性不信ではあるけれど空気を読み外見などにも恵まれていた歩はスクールカーストも常に上位で一見将来有望な青年でしたが、
中年にさしかかった頃から姉の前衛的なアート活動、それにまつわった恋人との別れや髪が薄くなってきて自分の容姿に自信がなくなってしまったことで今までできたいた「なんとなく人に合わせて適当な地位で過ごす」ことができなくなってしまいます。
あらすじはあんまりもう書きません。読んでみてください。
感想プラスネタバレも含め。
誰しも主人公の歩みたいに空気を読む必要があり、自分を殺している自覚もなく生きていることもあると思う。私は3人兄弟の末っ子であることとか、逆に見た目でいじられることが多く自意識過剰になってしまったのでその傾向があった。けれど歩みたいにうまく立ち回ることができなかったので歩の姉のような状況や心境になったりもした。私も歩のように、人の目を気にしてフラフラと自分の軸がない所があるので、「信じられるものを見つけなさい」というのが突き刺さりました。
荒れまくっていた姉が世界を放浪したのち常識人になるところはもっと詳しく続編とか短編で読みたいところです。
主人公の家族と深く関わった矢田のおばちゃん、歩の高校時代の友人、須玖、エジプトでの友達ヤコブなど、魅力的な人物像満載で、特にヤコブとの再会は涙が浮かびました。
生まれてから当たり前に信じるものがある人たちと、逆にあるのが異質な日本という国。
自分も母になり、子供を育てていく中、夫婦でいつづけることの難しさ、親であることの子供への影響力なんかも改めて感じました。
親としての目線でみると歩ってすごく優しくて、なんか家族が誰も知らないうちに板挟みになっててかわいそうというか。
離婚しても元妻と子供の元妻の親戚までにお金を出し続けるお父さん。お母さん、そんな幸せ、めっちゃ羨ましいです。
さて、あなたは信じる何か、見つけてますか?
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